『水月鏡花のコノテーション』考察
僕はかねてからひなビタ♪S4の物語を読み進める前に、このりんりん先生からまり花ちゃんに対する気持ちを伝えた一つの歌『水月鏡花のコノテーション』を読み解かなければいけないと思っていました。ひなビタ♪ライブを見ることでやっとそのケツイが固まったので、以下、考察を行っていきたいと思います。
この曲の歌詞はりんりん先生とまり花ちゃんが会話をするように描かれており、まり花ちゃん独特の言葉使いや、りんりん先生の、難解な言葉を使う割に言葉足らずで本当の気持ちが伝わらないという部分まで再現されています。
なので、まず歌詞の中の言葉が誰の言葉であるか、その裏にある意味を明確にし、消えてしまったであろう言葉を埋める作業から始めます。
以下
黒字:元の歌詞 橙色:まり花ちゃんの言葉
赤字:推測されるもの 灰色:消失した&りんりん先生の言葉
青字:デュエット
1番
(まり花が)水上で待ってる(つまり自分は対照的に水底にいる)
「雨宿りしていこう」
(まり花が)水上で呼んでる
「雨はやむのよ いつか」(この台詞はまり花ちゃんが実際に言ったというよりも、まり花ちゃんの行動が周囲の人間を変えていくのを見て、もしかしたらまり花ちゃんなら日向美商店街を......私を変えてくれる存在かもしれないと、一筋の光明を見出した心の現れ)
こころから気持ちが溢れてこぼれているの
あなたは私が話したことを覚えているかな
時々私の感情は雨のように強く降るから
ねえまり花ほら好きだって言いたいのに声にならない
だって、いつでもあなたと一緒にいると
嬉しさの余韻が降り注いで
私の頭の中を隙間なく埋めるもの
よせては かえして(皆によりそっては、居場所を与えて)
(まり花が)全ての色をとおくへさらっていく(色は自分を含めたひなビタ♪のメンバー達のこと。とおくは、一人ではたどり着くことのできなかった場所。そこへとまり花ちゃんが皆を引っぱって行く)
街は鮮やかに水すだれ(止まないと思っていた雨が上がると、そこには美しい世界が広がっていた)
列車の走る速さ こえて(街の近代化の波よりもずっと速く、日向美ビタースイーツ♪の歌が、商店街、倉野川に住む、もっともっとたくさんの人の笑顔を繋いでいく)
※ここらへん まり×凛 妄想強め
「いつも」「いつも」
「かな」し「そう」
「言葉を発してしまった後から気づく」
「ごめん」「いいよ」
「らら」「るる」 (ら→り りんちゃん る→れ レコード屋 呼称にも距離感)
「近くの遠く」
(いつだって私が気持ちを上手く伝えられないせいで、あなたを誤解させて、悲しませてしまっている。今はまだ、嫌いではないということしか伝えられないの…ごめんなさい。一つのバンドの中という近くに居ても、メンバーの中でもあなたと私は対極的で、あなたは私が憧れを抱く遠い存在)
「ねえ(りんちゃん)」「なあに」
「あのね」「るる」(レコード屋)
「ありの」「ままで」本当に?
「そうよ」「らら」(まり花ちゃんにとってのりんちゃんと、私にとっての皆から見たりんちゃん)
(「りんちゃんはそのままでいいんだよ?」
「本当にこんな私をあなた達は受け入れてくれると言うの?」
「そうだよりんちゃん」)
2番
「あなたはまだそこで私を待ってる?」(当初の約束は果たしたけれど、まだ私を必要としてくれているの?)
「…雨宿りしていくの?」(また少しの間一緒にバンドをしてくれるの?)
「そろそろいいかなって」(もう私も日向美ビタースイーツ♪の一員になってもいいかなって)
「雨はやむから ほらね」(まり花ちゃんの示した通り、心の中に降っていた雨が止んだ)
(まり花の)こころから
ひかりが降り注いで
この道を埋めるのよ(まり花ちゃんの歩んでいく道が笑顔でいっぱいになる)
「よせては ひくもの」(皆によりそっては、音楽を奏でて)
「全ての色 包み込んで」(ひなビタ♪の皆を包み込んで一つにする)
街は穹を飛び越えていく(水底に沈んでいた日向美商店街は、水上のはるか上、空だって飛び越えていく)
澄み渡り また 響き合う(空と同じように皆の心も澄み渡って、また新たな音楽を生み出す)
「いつも」「いつも」
「かな」し「そう」
「でも気が付いているよ」「いるよ」
「るる」「らら」
「遠くの近く」
(いつもりんちゃんはどこか悲しげに見えるけど、皆のことが大好きだって気持ちは、皆ちゃんと気が付いているよ。どこか皆と距離を置いてるように見えても、誰よりも近くで日向美ビタースイーツ♪の皆を見守ってくれてるって分かってるよ。ということをりんりん先生自身も分かっている)
「ねえ」「なあに」
「あのね」「らら」
「ありの」「ままで」
「その」「ままで」(ありのままの自分をまり花ちゃんだけでなく、りんりん先生も受け入れたという暗示)
そして、この歌詞にFBでのりんりん先生の心情を加えると、この歌が描く物語の全貌が見えてきます。
1番
どうせこの商店街に降りゆく雨は止まないのだから...それなら私はいっそのこと水の中に沈むことを選んだ。
暗く静かで、私以外のおとは何も聞こえない...いえ、私の声すらも聞こえない水底で。
「雨宿りしていこう」
水上から私を呼ぶ声が聞こえる。
「雨はやむのよ いつか」
あなたといると、私のきもちは溢れだして、言葉となって心からこぼれるの。
あなたは私が話したことを覚えているかしら。
時折、抑えきれなくなった感情が、雨のように私の口から降り出して、好きだという、本当のきもちさえも伝えられなくなる。
だって、いつだってあなたと一緒にいると、嬉しいという感情が止め処なく私の心に降り注いで、頭の中の隅々までがあなたへの好意で埋まって、言葉を発することは愚か、思考さえもできなくなるの。
あなたは皆によりそっては、その思いを笑顔にして返して、心安らぐ居場所を与える。私たち一人一人では到底不可能だった、家族との絆や商店街に住む人々の絆を繋ぎ、本当の自分の気持ちと向き合えるように、あなたが私たちを水底から連れ去っていく。
今では静かに滅びを待つだけだったこの商店街に降る雨は止み、この街に住む、もっと多くの人々の笑顔が鮮やかに輝いている。
街に訪れた近代化の波なんかよりもずっと速く、あなたたち日向美ビタースイーツ♪の歌が、商店街だけでなく倉野川、数えきれない人々の笑顔を繋いでいく。
いつだって私が気持ちを上手く伝えられないせいで、あなたを誤解させて、悲しませてしまっている。今はまだ、嫌いではないということしか伝えられないの…ごめんなさい。一つのバンドの中という近くに居ても、メンバーの中でもあなたと私は対極的で、あなたは私が憧れを抱く遠い光。
「りんちゃんはそのままでいいんだよ?」
「本当にこんな私をあなた達は受け入れてくれると言うの?」
「そうだよりんちゃん」
2番
「当初の、演奏を指導するという約束は果たしたけれど、まだあなた達は私を必要としてくれているの?」
「また少しの間一緒にバンドをしてくれるのりんちゃん?」
「もう私も…日向美ビタースイーツ♪の一員を名乗ってもいいのかしら...」
あなたのこころから降り注ぐ優しさが、あなたの歩む道を笑顔で溢れ返させている。
皆によりそっては、音楽を奏でて、バンドの皆の心を包み込んで一つにしていく。
水底に沈んでいた日向美商店街は、水上のはるか上、あの蒼穹をも飛び越えていく。
そして皆の澄み渡った心が、また新たな音楽を生み出す。
「いつもりんちゃんはどこか悲しげに見えるけど、皆のことが大好きだって気持ちは、皆ちゃんと気が付いているよ。どこか皆と距離を置いてるように見えても、誰よりも近くで日向美ビタースイーツ♪の皆を見守ってくれてるって分かってるよ。」
あなたたちが私を受け入れてくれたように、私も日向美ビタースイーツ♪のメンバーとしての私を受け入れるわ。
と言った物語が描かれているんです。僕の中では。
この歌は、りんりん先生がまり花ちゃんに対して、「あなたの信じる音楽の力がバンドメンバーだけでなく、日向美商店街やもっとたくさんの人を笑顔にして、その心を変えていった。そしてそれはもちろん私も例外ではない...今はまだすべての気持ちを伝えることはできないけれど、私を受け入れてくれたあなたたちと共に、日向美ビタースイーツ♪と共に、これからも一緒に歩んでいくわ。」という気持ちを伝える感謝の手紙なんですね。
てっきりラブレター的な歌だと思っていたので正直残念です。
りんりん先生のまり花ちゃんに対する真っすぐな思いが込められた素晴らしい曲だということが、充分にお分かりいただけたのではないでしょうか?
まり花ちゃんは、歌詞の意味が難しくてよく分からなかったと言っていましたが、りんりん先生がバンドの皆が大好きで、とても大事に思っているということは分かっているので、充分気持ちは伝わっていると思います。恋心も伝われ。
ちなみに曲名の意味は、水月鏡花は文字通り、水の中に沈んでいる自分、霜月凛とは正反対、鏡映しのまり花ちゃんという存在。コノテーションは言葉の裏にある意味という英語なので、自分が普段伝えたい言葉と逆のものを発してしまうことに対して、その言葉の裏の意味、好意に気が付いてほしいという心の現れだと思います。
もしかしたら月は告白のコノテーションとも受け取れるので、やはりラブレターという可能性も…
それでは、僕がまりイブ派の人間に殺されていなければ、また次回の考察記事でお会いしましょう。
白羊