ヤマシロオニグモ(セジロ型)飼育日誌 【二十三~四十日目】更新
【初日から二日目】
エサを与えず採集用の小さなケージに入れていたがたまに走り回るほど元気が有り余っている。
【三日目】
百均のプラケージに移す。隅の方に数本の糸を張っており、早速バッタの幼体を捕食していた。
【四日目】
少し網は増えたがまだコガネグモ科特有の美しい円網にほど遠い。相変わらずモンシロチョウは網にかからず、代わりにハムシとバッタを捕食していた。
【五日目】
ついに大きく美しい円網が完成する。
カラカニグモが一向にヨトウガ(未同定)を食べなかったので、ケージに移したところ一瞬で網に掛かり丸め込まれ、ヤマシロオニグモの餌食となっていた。完成した網の上にいるクモの動きはこれまでと比べ物にならないほど早く、今ならモンシロチョウですら暴れる前に仕留められそうだ。
【考察】
ここまでの飼育と観察で、造網生のクモはケージの上の方にいることが多く、またゴミは下に溜まっていくので、スライド式のケージを逆さまにして飼育するのが一番効率的だと分かった。
また木の枝などを入れなくとも、広いケージの中で少しづつ足場を作りキレイな円網を完成させていたので、飼育に必要なものは生餌とプラケースのみ。しかも本人がやや大型なのも相まって、網にかかりさえすればカニグモとは違い好き嫌いなく何でも食べる。オニグモ、つまりコガネグモ科のクモは非常に飼育しやすく、また見ごたえのある種だと判明した。
(なぜかテントウムシだけは三日目から同居しているのに生き続けている)
造網性のクモを飼育する予定はなかったが、専用テラリウムを作らなくとも自然に近い生態を見ることができ、管理・飼育も楽なので、見た目の気に入った個体が居れば随時捕獲していきたい。
【六~十日目】
・円網を作る気配がなく、寝たきりになる。
・帰宅すると脱皮を終えていた。成体だと思っていたので驚きと喜びがこみ上げた。(ハムシの幼虫の時も三日間動かなくなった後蛹になっていたが、どの節足動物も同じような時間かかるのか?)
・自宅前に居た♂のヤマシロオニグモをケージに入れてみるも特に関わり合いにならない。
・水を一度も与えてなかったので霧吹きをかける。嬉しそうに巣から降りて水を飲んでて可愛かった。小型のクモは水滴で溺れることがあるらしいが、成体になったオニグモは大きな水滴もあっという間に飲み干していた。
【十一~十二日目】
スライドケージに♀のヤマシロオニグモを移す。葉っぱの上で休んだり、裏に隠れたりと気に入ってる様子?
【十三日目】
まだ昼夜逆転が完全に直っていないようで午前4時に円網を作っていた。朝9時にはもうしまっていたため、エサやりのタイミングが難しい。
【二十三~四十日目】
二度目の脱皮。捕獲時成体だと思っていたのが亜成体だと判明したと思ったら実は幼体だった。(意味不)
完全体になったハクメンちゃん(背中が白く模様が人面なのでハクメンと名付けた、決して狐ではない) はこれまで以上にパワフルになり、巣を張っていなくとも獲物に飛びかかり直接糸を巻こうとするほどに。(自分より大きいアオドウガネの成体を掴んで持ち上げていた...が予め糸を張っていないため捕食には至らなかった)
成体になってからはある程度大型のエサしか与えていないが、あやとりのように手で束ねた糸を被せる、前述した獲物に飛びかかる行動のように、円網に頼らない狩りもするようになった。クモが進化の過程で手にした最高傑作、正常円網とは一体なんだったのか…
おまけ
ヤマシロオニグモ♂成体の観察
・個体によって網を作る上手さに差があるとは聞いていたが、この個体は寝床を作るのが上手い(♀ともう一匹の♂亜成体(画像左のクモ)の方はハンモック状の寝床を作れないらしい)
・獲物が網にかかりきるまで寝床から意地でも出てこない
・朝見たら寝床を亜成体の♂に奪われていた(成体の♂が捕食している間に奪った?)
・今度は成体が寝床を取り返したら、亜成体の個体も歪ながらハンモック状の寝床を作っていた。
・と思ったら寝床が逆転もしていた。もはやワケが分からない。
備考
脱走した6日後の深夜に徘徊していたのを再捕獲